フルートのビブラートのかけ方

Flute — Vibrato

ビブラートは「上手に聞こえるための飾り」ではなく、意図してコントロールする表現手段です。かける前に満たすべき条件と、速さ・幅を自分で選べるようになるまでの手順を解説します。

📋 この記事でわかること
📑 目次

かける前に満たすべき条件

ビブラートの練習を始める前に、確認しておくべきことが2つあります。順序を飛ばすと、不安定な音を揺らしてごまかす習慣がついてしまいます。

⚠
音が細い・かすれるのをビブラートで隠そうとしないでください。ビブラートは音色の問題を解決しません。むしろ、芯のない音に揺れを加えると、輪郭がさらにぼやけます。モイーズ《ソノリテ》のような音作りの教材で土台を作るのが先です。

波の数をコントロールする練習

ビブラートの習得で最も重要なのは、自分で波の数を決められることです。メトロノームを使って、機械的に数を数える段階を必ず通ってください。

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曲の中での使い分け

ビブラートは常に同じ速さ・同じ幅でかけるものではありません。国立音楽大学でのデニス・ブリアコフの公開レッスンでは、モーツァルト作品に対して「当時の木製フルートを想起させる音」「クリアすぎない高音」といった様式感が指導され、ジョルジュ・ユー《ファンタジー》では「正確さだけではシンプルすぎる」「表現をもっと変化させ自由に」と助言されています。正確さの上に、変化を計画的に設計するという発想が要点です。

1フレーズの中で変化させる

フレーズの入口では控えめに、頂点に向けて幅と速さを増やす。終わりに向けて落ち着かせる。一定のビブラートをかけ続けるより、線の方向が伝わります。

2様式によって変える

古典派の作品と近現代の作品では、適切なビブラートの量が異なります。作品の様式を調べたうえで選ぶ、という順序を習慣にしてください。

3合奏では控える判断も必要

吹奏楽の中で全員が思い思いのビブラートをかけると、和音が濁ります。ソロなのか、和音の一部なのかで判断を変えてください。

4あえてかけない選択

ノンビブラートも表現の一つです。かけないことを選べる状態が、コントロールできている状態です。

やってはいけない練習

よくある質問

ビブラートの習得についてよく寄せられる質問をまとめました。

ビブラートは何年目から練習していいですか?

年数ではなく、ノンビブラートで音程と音色が安定しているかで判断してください。まっすぐな音が安定していない段階でかけ始めると、音程の不安定さが揺れに紛れて自分で気づけなくなります。ロングトーンで音の立ち上がりから終わりまで音程が動かない状態を先に作るのが順序です。

自然に揺れてしまうのですが、これはビブラートですか?

止められるかどうかで判断できます。意図してノンビブラートに戻せるなら、それはコントロールできている状態です。止められないなら、それは「かけている」のではなく「揺れてしまっている」状態で、息の支えが不安定なことが原因である場合が多いです。

どこでビブラートをかけるのが正解ですか?

一律の正解はなく、様式と文脈で決まります。古典派と近現代では適切な量が違いますし、吹奏楽の和音の一部を担当している場面では、控えるほうが合う場合もあります。まず「かける・かけない」を自分で選べる状態を作り、そのうえで作品ごとに判断してください。

ビブラートをかけると音程が下がってしまいます。

顎や頭が動いて唄口との角度が変わっている可能性が高いです。鏡の前で吹いて、頭が上下していないか確認してください。また、ビブラートは音程の中心を保ったまま上下に揺れるものです。ドローン音を鳴らしながら練習すると、中心がずれていないか耳で確認できます。

🎼 この記事の練習で使う道具 広告

この記事で紹介した練習は、メトロノームとドローンの併用を前提にしています。

メトロノーム
この記事の練習はすべてメトロノーム併用が前提です。テンポを1目盛ずつ上げる運用には電子式が向いています。
チューナー(ドローン機能付き)
ドローン(基準音の持続)を鳴らせる機種だと、針を見るのではなく耳で和声関係を作る練習ができます。

この記事と一緒に使える教材

音作りとビブラートに関わる練習は、以下のPDF教材にも収録しています。

PDF
高校生向けフルート練習ガイド
High School Level

コンクールを目指す奏者向け。音域拡張・ヴィブラート・アーティキュレーションを含む中級〜上級内容。

高校生中級〜上級
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フルート練習楽譜集
Practice Sheet Music

日課練習・エチュード・スケールの楽譜集。ウォームアップから高度なテクニック練習まで収録。

楽譜全レベル
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大学・音大生向けフルート練習ガイド
University Level

音楽大学専攻生向け。エチュード・協奏曲・オーケストラ抜粋まで含む総合練習法。

大学生音大生上級
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